私たちの「なごみの会」を開設したのは、5年前の2000年10月18日です。以降、今年5月末までに106回の例会を重ねてきました。場所は、住吉商店街の内海グループ所有の空き店鋪を、全くの無料借用をしています。
こういうことをなぜ始めたのかという背景について、報告をしたいと思います。私たち愛媛医療生協の三津浜支部を作ったのは、1995年の10月です。その支部結成当初から、高齢者が大変に多い中で、「健康なまちづくり」を目指した活動を軸においてやっていこうということで、まちの活性化の問題とか、まちづくりの問題に大きな関心を持って、いろんな団体との懇談や、フォーラムのようなものを計画してきました。その中で、先程の方も言われましたが、商店街が非常にさびれているというのは共通の問題です。その中で、商店街の方も何とか再生したいということで、毎月1回第1日曜日に「ゴー!ゴー!三津浜」というイベントを商店街が始めたことに呼応して、私たちも商店街の小さな1店鋪をお借りして、このイベントに併せて、午前中、健康チェックを始めました。
当初はめずらしさもあって、100名近くの方が健康チェックに来られ、担い手の組合員7、8名と、城北診療所の協力を得てやってきました。これも80回を超えましたが、これに参加されるのは、ほとんどが高齢者の方です。健康チェックに来られて、そこがおしゃべりの場になって、なかなか帰らないんですねえ(笑)。みなさん、「おしゃべりの場がほしい」ということを口々におっしゃいました。私たちは健康チェックの仕事をしているのに、話し掛けてきて仕事にならないくらいでした(笑)。そういうことを進めていく中で、お年寄りのたまり場、おしゃべりの場をつくっていきたいという声が様々なところから出てきて、私たちもそういうことを計画する必要が出てきたわけです。
そこで、全国生活協同組合連合会が、福祉事業の立ち上げのための補助をするということで、私たちはそれに申請しました。100万円申請したのですが、60万円出ることになりました。それを契機として、半年間準備を重ねて立ち上げたのですが、一番の問題は、商店街の空き店鋪はたくさんあるのに、なかなか借りれないことでした。こちらもお金がないので、商店街の役員会と何回も話し合いました。会長は特に力を入れてやってくれたのですが、なかなかうまくいかない。私たちは話し合いの中で、「あくまでも商店街の中でやりたい。公民館などではなくて、人が集まるど真ん中でやっていくことに意味があるのだ」と強調して、熱意を込めてやりました。それにほだされて、内海グループの家具屋だった30坪くらいの空き店鋪を「商店街の活性化と社会貢献のために貸しましょう。お金は全く要りません」ということで、光熱費も水道代も全く無しで、4年半続けて借りていて、修繕したくてもできないということはありますが、現在までやってきました。
この設立にあたっては、何にもないところからのスタートですから、市役所へ行って、支所に行って、管財課に行って、「いらん机はないか?いらん腰掛けはないか?」と廃棄処分したものを交渉するために、何回となく行きました。最終的には、支所が長年使っていた机と腰掛けを三津の夏祭りの実行委員会がもらいうけているので、それを貸してほしいということをお願いし、歴史的産物のようなものですが、今だに使っています。
どういう活動をしているかについては、利用規則にあるように、
- 利用者と協力者の創意により、趣味や語らいができる憩いの場をつくります。
- 健康で自立した生活の維持・向上に役たつ行事を行います。
ということで、地域に在住している自分の足で来られる方が対象になっていて、要支援の方もいますが、元気な方がほとんどです。最高齢97歳の方もお元気です。
そういう方を中心にして、毎月第1・第3水曜日の10時から15時まで行っています。午前中は高齢者体操や体を動かすゲームをやったり、歌を歌ったりして、昼食は弁当をとっています。午後は、小物づくり手作業や絵手紙などと併せて、毎月2回目には健康チェックをやっています。「月2回では少ない、もっとやってくれ」と言われるのですが、こちらの協力者が専門的にやらないとできないので、なかなか期待に応えられないのですが、月に1回「歩こう会」を一緒にやろうということで、毎月第2火曜日の午前中に14、5名で、「なごみの会」の会員さんを中心に、地域の文化財めぐりをしたり、菖蒲がきれいな時期には見に行ったりしていて、実質は月3回やっています。
なにせ、場所は月2回だけで、その日以外は入ることができないのですが、登録の利用者が16名、協力者が10名で、通常、利用者はほとんどみなさん来られますが、協力者は6、7割の参加で運営をしています。
運営にあたっては、当初から「すずめの学校」にしたいということで、誰が生徒か先生かわからないような、「みんなが主人公なのだ」という建て前で、進めてきていますが、当初は、弁当の時にでも、協力者の方がさっと行ってやってしまう。ここは、自分でできることは自分でする、人のためになることはそれもする、という建て前の定着を図るためには1年かかりました。今はそういうことが当たり前となって、新しく参加された方には利用者の方が、「ここではこうぞな」と一所懸命に説明されていて、だいたい定着してきたように思います。
ただ、協力者が何をしているのかというと、当然、協力者の役割はたくさんあるわけで、その日だけしか使えませんから、朝早くから行って、会場の準備や段取りをすること、一応みなさんの意見を大事にしますが、当然、そこで一日どういうことをするかは計画もいるし、人的な配置もいるわけです。そういう中で、先程の方も言われましたが、利用者の方がいろんな才能を持っておられます。長い間生きて来た知識や才能、協力者はこの知識や才能をどう生かすか、評価しながらそれを生かして出番をつくるということが、協力者の大きな役割ではないかと思っています。
取り組みから思うことは、参加するようになって、利用者だけじゃなく、協力者も人間が変わったと、その知り合いの方から言われます。「あの人は、今までは自己中心的だったのに、あんなになるとは思わなかった。最近は話していても、人間が変わったようだ」と言うくらいですが、協力者も利用者も、生き生きして、一緒に考えようということができるようになったように思います。
先程も申しましたが、次々といろんなアイデアや知恵が出てくるので、その知恵の中には、私たちにはできないようなこともありますが、そういうことを生かしながら、「私は世話する人」「私は世話される人」ではなくて、みんなが参加して積極的に対応するという雰囲気ができてきたように思います。ただ、それだけに、新しい人が入りにくいというようなこともあるので、これからどうするかが課題だろうと思います。
先程の小野の発表はすばらしかったですが、私たちの地域でも、いろんな団体があるので、つとめていろんな団体に「いろんなことを一緒にしようや」と呼び掛けたり、交流をしたりすることに努力をしていますが、今後いっそうやっていく必要があるし、事業体でデイケアやグループホームをやっているところとも一緒にやっていける行事を、地域で考えていきたいと思っています。
最後になりますが、社協やいろんな団体がこのようなフォーラムをするのはすばらしいことだと思いますが、これの地区版として、地区でこういうことを共同でやるような雰囲気をつくるために、私たちも努力をして、そのために小野の発表も参考にしながら力を出していきたいと思っています。以上です。
前田さんのコメント
今日、初めて聞かせていただきましたが、非常に精力的に活動されていて、すごいなと思いました。利用者と協力者という枠がうまく混じり合う仕掛けと言いますか、ある時は利用者だけども、ある時は協力者になるというような、先程の個人の能力をどう生かすのかというところが、もっと仕掛けられていくと、もっと行きやすくなるのかなという気がします。協力されていると思うと行きにくくなりますが、その垣根をどういうふうになくしていくのか、「すずめの学校」ということを言われていますので、それがもっと進んでいくと、みなさんが集まって来やすくなるのかなと思いました。
新しい人たちが入りやすい仕掛けということがあります。どうしても既存のルールができてしまうと新しい人が入りにくいということがあります。それを打破するいい知恵もないのですが、一つは子どもたちを巻き込んで、子どもたちのネットワークの中で新しい人たちを巻き込みやすくなる、そこで既存の関係をリセットする時に、そういう外からの入りやすい人たちを巻き込んで活動するということは、そこで新しい関係を作ることにつながってくるので、そういう関係をリセットするきっかけ、タイミングを何回か設けていくと、新しい人が来やすくなることもあるかなと感じました。
それから、充分わかっておられることだと思いますが、中の関係と併せて、外の団体との関係をどうやって作っていくのかということがありますので、そのあたりも、地区のコミュニティとして、三津地区をこれからどうやって元気にしていくのかという発想を一緒に共有されていくと、三津の商店街や企業の協力を含めて、地区そのものが良くなるようなアプローチをしていくと、いろんな人の賛同が得やすくなるのではと思いました。
釈迦に説法ではありますが、商店街がいろんな団体を巻き込みながら、特に三津の場合は、生活博物館という商店街を中心とした大きなイベントや、いろんな地域の資源がたくさんあるので、それらをうまく活用するようなことを考えていただいたら、地域とのつながりを持ちやすくなるのかなと思っています。ぜひ、がんばって、これからも活動をしていただければと思います。
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