愛媛県生活協同組合連合会 ホーム
愛媛県連とは 県連活動 会員生協紹介 地域とともに歩む生協 リンク集
県連活動
   
生協制度見直し検討会・中間とりまとめへの意見書を提出しました
 
(2007/03/16)
  2006年12月12日
  『生協制度の見直しについて』
(生協制度見直し検討会・中間とりまとめ)への意見
  愛媛県松山市朝生田町3丁目1-12
愛媛県生活協同組合連合会
会 長 大川 耕三
 

 表記の『生協制度の見直しについて』のパブリックコメントについて、愛媛県生協連としてのこの「中間取りまとめ」への見解を以下のように表明します。

 消費生活協同組合法(生協法)は、1948年の制定以来、半世紀以上にわたって実質的な改正がほとんど行われておらず、社会・経済状況の変化や生協自身の発展にともなって、実情との間に大きな齟齬を来しています。そうした状況に対し、今般厚労省が「生協制度見直し検討会」を設置し、生協法全体にわたる改正検討に踏み出したことを強く歓迎するものです。また厚労省は、次期通常国会への法改正案の上程を目指すことにしており、今日の社会経済に即応した改正が実現するよう強く期待いたしております。

 今般、社会・援護局長の下に設置された同検討会では、4ヶ月という短期間の間に、生協法の全体にわたって関係団体のヒアリング、各論点ごとの討議など精力的な検討が行われました。委員の皆様をはじめ、関係各位のご尽力に対して、深く敬意を表するとともに感謝申し上げます。

 愛媛県生協連においても、この間、この度の生協法改正につきましては、会員生協役職員での学習会や理事会等での協議等を行ってまいりました。

 「中間とりまとめ」では、生協の歴史と現状を十分に踏まえた上で、食品の安全性の追求や子育て支援を含む福祉活動などの視点から、生協の公益性や社会的役割について高く評価されています。また、県域規制や員外利用規制などについても、「経済政策的な規制は合理的な範囲で緩和していくという基本的な考え方のもと …(中略)… 生協の本旨や、その公共性・公益性と見直しの必要性とのバランスをとりながら見直しを行う」として、規制緩和の方向性を明示しています。厚労省の下でこうした方向が明示されることは、法制定以来初めてであり、「中間取りまとめ」は総論としては生協の立場からも評価できる内容であると考えます。
しかしながら、それぞれの「措置の具体的内容」については、下記の点でいくつか付随的な要望事項がありますので、下記の諸点について今後ご検討いただき、次期通常国会への提案にむけて、生協の活動条件の改善により近づくようよりよい法改正につなげていただけることをご期待申し上げます。

組織・運営規定については、理事会・代表理事制の導入、解散・合併の総代会議決等など、さまざまな点で生協側の要望が配慮され、今日の生協の実情にふさわしいガバナンスのあり方を実現する上で大きく前進した内容となっています。

  • 員外監事については、経済事業を行う生協・連合会のうち「一定のもの」に設置が義務づけられる方向となっています。その範囲については今後の検討に委ねられていますが、県内生協には数億レベルの中小規模の生協も多く存在しており、無理のないよう、生協の実情を踏まえたものにしていただければと考えます。

  • 理事会議事録への出席役員全員の署名、捺印するようよう義務付けされる方向で検討されているようですが、一般的に地域生協の理事・監事数も40名前後で且つ非常勤役員が圧倒的に多い実情があります。現状は議長、議事録署名人を都度理事会で選出し、署名・捺印と次回理事会で理事会議事録の内容の承認を得ております。物理的な関係でも、できれば現行制度の維持をご検討いただければ幸いです。

 県域規制については、「購買事業の実施のために必要な場合」との条件付で、「主たる事務所の所在地の都府県の連接都府県まで」区域の拡大を認める方向が示されています。これにより、条件付きではありますが、地域の状況に合わせた区域の設定を一定の範囲で可能にするものとして、県域を越える地域生協を一切認めないという硬直的な現行法の規制が緩和される見通しです。しかし、購買事業の必要性という限定条件の再検討などを引き続き期待いたします。

 員外利用規制については、消費者が幅広く加入できる生協の特性から農協法など他の協同組合法とは違って原則禁止の枠組みを維持することになりました。しかし、「消費者の相互扶助組織という理念の中で、それに反しない限りで見直しを行うべきである」という形で考え方が示され、具体的には、員外利用を認める事由について法体系の中で明確にするとともに、個別の許可によらずに員外利用を認める事由についても拡大する方向が示されています。今後、中間取りまとめに例示された事由をもとに、具体的な法令の検討の中で更に充実を図っていただきたいと考えます。また、生協商品の「おためし利用」について、生協商品の味・品質・価格内容をしらずして、生協への出資金を預かり加入していただくことは、社会常識からしても理屈にあわない問題であり、何らかの法的枠組みを検討していただければ幸いです。

 医療・福祉事業については、生協の行う事業として独立して明記する一方、公共性の見地から損益の区分経理、それ以外の事業への資金移動の禁止、剰余金割戻しの禁止が盛り込まれる見通しとなっています。現在も、実務上は介護保険制度の必要から損益の区分経理が行われ、剰余金割戻しを自粛している状況であり、実態が法に明記されるものといえます。

 共済事業に関する制度については、契約者保護と経営の健全性確保という共済事業の社会的責任に由来する制度整備と、組合員のニーズに応える円滑な事業の遂行のための両面から、現状に比べて前進した内容となっており、他の協同組合法の水準を考慮した妥当なものと考えます。その中で、「規模が一定以上の共済事業を実施する」場合には、単位生協と連合会を問わず他の事業との兼業を禁止する方向となっています。将来の共済金の支払いに充てる資金を共済掛金として予め徴収するという共済事業の特質から、リスク遮断の見地での兼業規制の導入は必要な面がありますが、導入の基準については組合員の生活上のニーズに応える単位生協の総合性に十分配慮したものにしていただきたいと考えます。

 その他、大学生協における学生の組合員資格、職域生協における退職者の組合員資格が明記される方向となっており、現行法の改善と理解できます。

   
 
愛媛県生活協同組合連合会|〒790-8545 松山市朝生田町3-1-12