(1)私達をめぐる情勢の特徴
- 世界経済は、回復基調と言われていますが、今なお日本経済はデフレ不況の一方、米国等の金融緩和による投機マネーが世界の食糧や原油相場に流れ込み、価格高騰の影響をうけるなど不透明な状況が続いています。一部景気の持ち直し等もいわれていましたが、雇用情勢や所得の減少からみても、私たちの生活実感からは景気回復の芽は見えない状況です。3月に発生した東日本大震災は、原発の放射能汚染問題や被災地域の復興対策など、今後の日本経済にとって様々な困難な事態も憂慮されます。また、大量の赤字国債の発行による政府の経済対策は、国や地方の財政破綻を招きつつあり、納税者の一員として、その効果性についてしっかり検証していく必要があります。
- 勤労者のくらしが逼迫する中、日々のくらしの中では、雇用不安や賃下げ、食の安全や食糧危機への不安、医療や年金等の社会保障制度への不信などを背景に、消費者の生活防衛意識はかつてなく強まっています。今後、消費税増税の動きや社会保障費の削減の動きはますます強まることが予想され、私たちのくらしや健康を守るとりくみを本格的に強めることが重要となってきます。
- 流通業界では、出店競争やネットスーパーの登場、激烈な価格競争が続いており、売上げ不振や損益構造の悪化など、本格的な淘汰の時代にはいっています。県内でもスーパー業界の出店・値下げ攻勢や、コンビニ業界での家庭向け食材の取り扱い強化など、生協陣営にとって競争はますます激化しています。
- 全国の生協では、景気後退や価格競争の激化の中で、ぼぼ前年実績並みが見込まれ、損益構造も減損会計分を除き回復基調にあります。日本生協蓮では、品質の管理強化をベースにコープ商品の再強化や低価格実現にむけた新たな核商品の開発を行い、普段のくらしに役立つ事業の強化を進めています。また、新しく発足した「日本医療福祉生活協同組合連合会」も順調にスタートしています。
- 東日本大震災では、全国の生協をはじめ、県内の生協からも様々な支援が行われました。被災地域の復興は正にこれからが本番です。県行政や社協とも連携をとりつつ、ボランティア支援等も含めた生協らしい息の長い支援を続けることが重要です。また、地域医療や福祉の後退が続く中、誰もが安心して受けられる医療や介護の確立をめざしたとりくみとともに、利用者の立場にたった生協らしい医療や介護、たすけあい活動を強めることがますます重要となっています。
- 今年度は、県生協連創立60周年を迎える年であるとともに、2012年の国連の国際協同組合年にむけた準備を進める年です。相互に関連させながら、60周年と国際協同組合年にふさわしいとりくみを進めます。昨年のNPT再検討会議の成功を踏まえ、引き続き核兵器のない世界の実現に向けたさまざまな取り組みを強めることが重要です。また、TPPを始めとする食糧農業問題や環境問題、国と県内自治体での消費者行政の充実・強化にむけたとりくみ、税と社会保障の負担のあり方、食の安全、食育や子育て、平和や憲法に関する学習やとりくみを引き続き強めることが重要です。
(2)会員生協が共通してめざすべき2011年度の活動視点
- 組合員のくらしや健康を守るとりくみや学習を強めましょう。
- 東日本大震災被災地へのボランティア支援など継続したとりくみを強めましょう。
- 温暖化防止自主行動計画の策定など、地球環境にやさしい事業やくらしへのとりくみを強めましょう。
- 福祉事業や子育て支援の活動へのとりくみを強めましょう。
- 食の安全や食糧・農業問題、食育の推進にむけたとりくみを強めましょう。
- 平和を守る活動と平和憲法を学ぶ活動を強めましょう。
- 消費生活条例を生かし、消費者の権利を守る活動を強めましょう。
- 男女共同参画社会への推進にむけて、多様な参加のあり方を考えあいましょう。
- 新生協法にもとづき、社会的役割の強化やコンプライアンス経営を強めましょう。
- 組合員の声にもとづく事業と活動を強め、組織と事業経営の構造改革、財務体質の強化を進めましょう。
(3)2011年度の活動テーマ
組合員の声を聴き、それに応え、くらしに役立つ事業と組織を徹底して強めましょう。
県内生協が自立しつつ、互いに協力・協同して諸活動にとりくみ、生協の社会的役割を発揮しましょう。
(4)2011年度の重点課題
I.県内生協間の交流・連帯を強め、学び・励ましあい・共同行動を通じて会員生協の力量強化と県内生協全体のレベルアップをめざします。
1. 地域、医療、職域、大学、学校、共済、住宅など、県内異業種生協間の交流と連帯を強めます。
同業種生協間、異業種生協間、有志生協間の協力・協同や事業連帯の検討をおこなうため、必要に応じて委員会・研究会を設置します。また、医療生協交流会や福祉事業交流会等の継続実施を行います。
2. 会員生協での活動、とりくみを基礎に、組合員活動や国民的運動課題で時々の状況に応じた共同行動や学習にとりくみます。
食の安全行政の充実・強化や食糧・農業問題にむけたとりくみを広げます。
組合員のくらしと健康を守るとりくみや消費者力の向上にむけたとりくみを広げます。
新生協法にもとづき、社会的役割の強化をはかります。
消費税や社会保障問題での学習や共同行動にとりくみます。
福祉事業や活動での交流、政策検討をすすめます。
平和と憲法9条を守るとりくみや学習活動を広げます。
地球環境問題や生物多様性の問題、食育でのとりくみを広げます。
特に、「TPP問題をはじめとする食の安全や食糧・農業問題」の学習やとりくみ、「消費税率アップ」にむけた学習やとりくみを消費者団体の立場から強めます。また、ひき続き核兵器のない世界の実現に向けて継続したとりくみを進めると共に、平和や憲法の大切さについて、幅広い学習機会や情報提供を強めます。消費者行政の充実にむけてのとりくみでは、全国の動きと連帯しつつ、県内自治体での消費者行政の充実・強化へのとりくみを会員生協や他団体とも協力しつつ積極的に強めます。愛媛県の消費者団体提案事業に応募します。
3. 「第30回生協まつり」を記念すべきまつりとして、また、震災支援と関連させながら開催を行います。
4. 第13回しこくピースアクションリレー、「しこくピースアクションリレーinえひめ」の成功にむけて、県内生協と四国地区の生協との連帯を強め成功させます。
<事業計画>
◇くらしの講座(前期、後期)の開催(実行委員会形式)
◇しこくピースアクションリレーinえひめの開催(7月3日)
◇コープみんなでエコ活動の推進
◇食の安全や食糧・農業問題での学習会の開催
◇消費税率アップについての学習会の開催
◇県内消費者団体交流フォーラムの開催
◇第30回生協まつりの開催(実行委員会形式)(11月5日)
◇福祉事業交流会の開催(実行委員会形式)
◇職域生協交流会
II.県内における生協の社会的地位の向上に努め、役割を強めます。
- 住みよい愛媛づくりをめざして、県行政との協力・協同の関係づくりを一層強めます。また、地方分権の流れの中で、より一層の関係強化をはかっていきます。
- 県議会議員のすべての会派や政党、県内選出国会議員との話し合いを引き続き強め、生協への理解や協力関係をさらに広げます。
- JA、漁連、森連との愛媛県協同組合協議会(EJC)の活動を発展させ、さらにレベルの高い協同組合間協力・協同の実現をめざします。国際協同組合年にふさわしいとりくみの実施にむけて協同組合間の連携と促進の強化をはかります。
- 報道各社との日常的なコミュニケーションやリリース活動を強めます。
- 福祉分野や消費者問題での非営利法人や団体との連携やネットワークづくり、交流を強めます。
<事業計画>
◇国際協同組合デー愛媛交流集会、協同組合間提携活動の推進
◇国際協同組合年にむけたとりくみと県内実行委員会づくりの促進
◇NPO法人や他団体との連携やネットワークづくりの推進
◇NPO法人えひめ消費者ネットとの連携強化
◇愛媛県ユニセフ協会の支援
◇県議会議員との懇談会
◇松山ひまわり号のとりくみ支援(実行委員会)( )
III.会員生協にとって役に立ち、頼りになる県連機能の充実をはかります。
- 県連事務局の会員生協訪問による単協状況の把握とコミュニケ―ションにつとめます。
- 会員生協や組合員の要望にそった教育研修企画、交流企画を実施します。
- 県連理事会を軸にした運営を強め、一致点での合意と情報の共有につとめます。
- 理事会を中心に各単協の経営実態の交流や情報交換、経営分析など可能な範囲での情報交流を強めます。
- 県内生協の協同・連帯の基礎的組織としてのローカルセンターの役割がより一層はたせるようレベルアップをめざします。
- 愛媛県との災害協定にもとづく、危機管理・連絡・対応体制の整理や広域連携についての検討を進めます。また、会員生協での災害対策マニュアルづくりの促進や図上訓練、医療生協と該当自治体との協定締結の促進をはかります。
- 県内の諸団体・会員生協と協力して、東日本大震災の被災地へのボランティア支援等継続したとりくみを進めます。
- 2012年2月の県生協連60周年記念事業の開催にむけたとりくみを進めます。
- 他団体と協力して国際協同組合年を記念した協同組合研修企画を検討します。
<事業計画>
◇役職員研修会の開催、理事会学習会、研修会
◇60周年記念事業の検討と開催(2012/2/13)
◇県生協連災害対策検討部会の推進と広域連携のあり方の検討促進
◇医療生協の協定締結にむけたとりくみ促進、緊急車両事前登録制度の維持管理
◇愛媛県ボランティアネットワーク会議への参画
◇ボランティア支援等被災地への継続したとりくみの促進
◇国際協同組合年記念研修企画の検討
◇ホームページの充実
◇「生協連情報誌」の発行(年2回)
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