(1)はじめに
昨年は東日本大震災の全国的な支援活動の広がりの中で、「絆」という言葉で表されるように、「たすけあい」や「人と人とのつながり」の大切さが見直されました。この震災にあたり、全国の生協は協同組合の原点に沿った助け合いで被災地の支援を行い、日頃から培ってきた協同の精神とその取り組みが、大きくクローズアップされました。
2012国際協同組合年は、そうした協同組合の持つ特性と存在が社会的に評価され見直される中で迎えることになりました。これを機に協同組合の認知をさらに広げる活動とともに、組合員、役職員の間で学習を大いにすすめ、生協組織の強化につなげていくことが求められます。
一方で、くらしを取り巻く諸課題は山積しています。東京電力福島第一原発事故による放射能汚染問題は10万人を超える避難者を出し、深刻な事態が続いています。原発に頼らないエネルギー政策の転換をめざした国民的合意づくりと、節電や環境に配慮したくらしの在りようについて考え行動することが求められています。また、TPP交渉への参加問題や消費税増税論議もこれからの私たちのくらしに大きな影響を及ぼす懸念材料となっています。組合員が自立した消費者として適正な判断ができるよう学習活動が必要です。
国内経済は好転の兆しがなく、家計と人々の消費意欲は景気の先行き不安から足踏み状態にあるといえます。また、学生の就職難や若年層の非正規化、失業率の高さは社会問題になっています。高齢者世帯の増加と合わせ生活に困窮する低所得者が一層増加傾向にあります。あわせて、単独世帯化、人と人とのつながりの希薄化等により、社会の中で孤立する人が増加しており、地域社会の状況は急速に変化しています。
こうした状況の中で生協が組合員のくらしと地域社会に果たす役割はますます大きくなっているといえます。安心して暮らせる住みよい地域づくりをめざし、県生協連は会員生協がそれぞれ固有に掲げる目標の達成を支援するとともに、県内連帯の強化と生協間の交流を一層強め、消費者組織としての社会的役割を発揮してまいります。
(2)2012年度の重点課題
I.2012年国際協同組合年を契機に、「協同組合」について学び、広げる活動にとりくみます。
- 協同組合(生協)の役割と価値について学習し、協同の理念を学び、広げます。
- 県内の協同組合で結成した2012国際協同組合年愛媛県実行委員会に参加し、学習会の開催(7月頃)や愛媛県大会(10月)にとりくみます。会員生協組合員の積極的な参加をよびかけます。
- 県連では会員生協でとりくむ学習活動の支援を行います。
II.共同行動を通じ、県内生協間の交流・連帯を強めます。
- 「第31回生協まつり」を松山堀の内公園に会場を移し開催します。
- 第14回しこくピースアクションリレー、「しこくピースアクションリレーinえひめ」の成功にむけて、県内生協と四国地区の生協との連帯を強め成功させます。
- 組合員の要望をもとに「くらしの講座」を前期3会場・後期3会場を目安に地域開催します。
- 第6回福祉事業交流会・医療生協交流会を開催します。
- 福祉事業交流会(2012年4月21日開催)
- 医療生協交流会(2013年3月頃を予定)
III.会員生協での活動、とりくみを基礎に、組合員活動や国民的運動課題で時々の状況に応じた学習や共同行動にとりくみます。
- 原発に頼らないエネルギー政策の転換についての学習や、節電や環境に配慮したくらしの在りようについて考え行動します。
- TPP交渉への参加問題や消費税増税論議もこれからの私たちのくらしに大きな影響を及ぼす懸念材料となっています。学習会の開催等をすすめます。
- 平和のとりくみでは、平和市長会議のよびかけによる「『核兵器禁止条約』の早期実現を求める要請署名」(CANT署名)に引き続きとりくみます。また、憲法9条を守るとりくみや学習活動を広げます。
- その他、食の安全・食育、消費者問題、福祉、環境等のテーマでの学習を適宜すすめます。
IV.行政や他団体との連携を強め、役割を発揮し、地域に貢献します。
1. 安心して暮らせる住みよい地域づくりをめざして、県行政との協力関係を一層強めます。
愛媛県からの平成24年度提案事業を受託し、県内消費者団体のネットワークづくりをすすめます。
消費者被害を未然に防止するため、愛媛県での適格消費者団体設立に向け、行政、他団体との連携を強めます。
各種審議会等への参加等、積極的な対応をすすめます。
2. JA、漁連、森連との愛媛県協同組合協議(EJC)の活動を発展させ、さらにレベルの高い協同組合間協力・協同の実現をめざします。また、学習会や県大会等の国際協同組合年行事に積極的に関わり参加を強めます。
3. 県議会の全ての会派や政党、県内選出国会議員との話し合いを引き続き強め、生協への理解と協力関係をさらに広げます。
4. 地域で活動する諸団体との連携やネットワークづくり、交流を強めます。
V.会員生協にとって役に立ち、頼りになる県連機能の充実をはかります。
- 会員生協の状況把握とコミュニケーションに努めるとともに、適宜必要な情報提供を行います。
- 県連理事会では合意形成を大切にした運営を心がけます。また、経営状況や活動についての情報交流を引き続き強めていきます。
- 愛媛県との災害協定にもとづく危機管理、連絡、対応体制の整理や広域連携についての検討をすすめます。また、中四地連が開催する大規模災害対策連絡会や図上演習に積極的に参加します。
- 会員生協とともに、東日本大震災被災地への支援を継続して行います。
- 「生協連情報」の発行(年2回)の他、日常的な情報収集に努め、ホームページの充実・定期更新を行い広報機能を充実させます。
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